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呼吸が弱々しかった。死の足音が秒単位でボクの背後に迫る。
死にたくない。
「はあはあ…はあはあ…」
「しっかりして龍麻!!」
「お母さん!離れて下さい!!」
か……母さん。
苦しさを抑えボクは、ゆっくり虚ろな視線を向けた。
ボクの目の前には、担当医の久保先生とボクを産んでくれた母親、まだ幼い妹のチサキが居た。
母さんは涙を流し必死に何か叫んでる、ボクの名前を呼んでるのか?……もうボクにはもう聞こえなかった。
はは……チサキは、キョトンとしてる……まだ三歳なった……ばっか…だもんな。
眼が見えない。白い世界がボクを包んでいく。
ああ、もう終わるんだ
みんなに……亜美…に会いたいよ……。
心臓が一気に跳ねた。手足が痙攣を起こし呼吸が乱れる。
「はあはあ…ッアァ!!!………か…あ…さ……チ……サキ…亜美……!」
ピ――――――――――――――
2月14日13時12分
朝霧龍麻(あさきり たつま)死亡。
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