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 ラグエルは溜息を洩らしてそこに座っていた。  目の前に繰り広げられる壮絶なバトルを尻目に、視線はテーブルの上の設計図に注がれている。今回の仕事のためにはこの図面を覚えることが必要だった。  しかし、いくらその頭脳が明晰だと言っても騒々しい中では集中力も欠くというもの。  彼の堪忍袋の緒が切れて、ついにその元凶に向かって怒号を上げた。 「いい加減にしろよ、ふたりとも!」  珍しいラグエルの怒鳴り声にレミエルとラジエルがビクッとして動きを止めた。そしてゆっくりとラグエルの方を見ると二人とも引き攣った笑みを口元に浮かべた。  怒鳴られた理由はよくわかっている。 「お前ら仕事する気はあるのか?」
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