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暁は静かに階段を登り終えると、不意に突然開けた視界に目を見開く。
このアパートが少し大きいからか、それとも郊外なのでビルが無いからか廊下から辺りの町中が一望出来た。
サワリと吹く爽やかな風を受け、僅かながら眺めの良い景色を見ていると仕事というのを忘れそうになる。
「あら……もしかして今日依頼した人かしら?」
不意に掛かった声にビックリして恐る恐る暁は振り返ると、一人の女性が回覧板らしきモノを片手に微笑んでいた。
ショートボブの栗色の髪。
白く痩せた肌。
そして表情はどこかあどけないが、落ち着いた「大人」の印象を受けた。
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