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夢を見た。
何も無い、真っ白な世界に、君と僕がいた。
何かが割れる音がして、世界がバラバラになり、君も消えた。
まだ外は暗いが、電気も点けず、部屋まで暗かった。
何かを拾っている君がいた。目が慣れてきたら、それはガラスだとわかった。
「どうしたの?」
「ちょっと花瓶落として、、」
僕には、何故ガラスを拾っているのか、という疑問以外の感情が浮かばなかった。
あの頃なら、大丈夫?怪我ない?、、声をかけていただろう。
その赤い滴が、血だとはその時わからなかった。
わかっていた。分かっていたのだ。心の奥底では。
この最も辛い選択がベスト。
それを拒む自己愛とで、葛藤していた。
この想いは何時になれば言えるのだろう。
雷が鳴り、二人の空間が朽ちて去く気がした。
やっぱり、この方法しかないんだ。
言うしかないんだ。
色褪せた思い出が頭を過る。
それを刻むようにまた雷が鳴った。
「ねぇ、、」
真顔になった僕にいつもと違う雰囲気を感じた君は、同じソファーに座り、また真顔で
「なに?、、」呟いた。
別れよう
君は何も言わずに頷いた。
涙が溢れ、ぽたぽたと流れ落ちた。
僕は真顔だった。
僕の中で何かが叫んだ。
君という鎖に繋がれてた方が幸せだったのかも知れない。これからは何も無い。
二人を重ねてた偶然がバラバラになった。
割れた花瓶の様だった。
「所詮、、こんなもの。。」
声にならない声で呟いた。
枯れた頬に温かい涙が伝った―――
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