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普段の桔梗からは考えられないような言葉だった。 恨みや妬み、憎しみのこもった声。
空耳でも聞き間違えでもない。 確かに聴こえた。 なんだったんだろう、あの声は……? 何かを伝えたかったのだろうか?
とにかく、あまり良いことを示しているとは思えない。 そう考えるのは優月だけでなく、奏多も同じようだ。 表情が厳しい。
「あー……秋篠、このぬいぐるみちょっと借りていっていいか?」
「え……どうして……ですか?」
「いやさ、優月がコレ気に入っちゃったみたいでさ、少し貸してもらっていいか?」
「ちょっと、奏多、何を……」
奏多は何を考えているのだろう? 確かに気に入ってはいるが、わざわざ借りるほどではない。
優月が言い寄ると、奏多は「いいからいいから」と目配せする。 本当に何を考えているのだろう?
「いいです……けど、姉の遺品なので……」
「わかってる、大事に扱うよ。 ありがとな」
わけもわからず、貸し借り成立。 優月はまだ奏多の考えがわからず、?マークを浮かべている。
「……さて、それじゃ優月、次の調査場所に行こうぜ! ここに犯人の手掛かりらしいモンは無いみたいだし」
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