銀のアスファルト1

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だから、殺した。 そんな気がなかったとしても、結果的にそうなった。 どこかで、望んでいたんだ。 おれは確かにあいつになりたかった。 あいつのまだ温かい血を、擦り減った靴底に感じながら、今自分自身ともいえるあいつを見つめて、おれが殺したかったのは自分の心だった事に……。 そう、気がついて。 雨が降り注ぐ。 あいつの残した命の残像に。 アスファルトは、血と雨と鈍い光を放つ街灯に照らされて銀色に染まっている。 一瞬、焦点の定まらないあいつと、視線があった。 その刹那、おれが今まで見た事もないような、幸せそうな表情で笑った、ように見えた。 何故かは解らないけど、おれもあいつに笑い返した。 たった何秒かだったけど、その時はじめておれ達は互いにわかり合えた。 そう、確信している。 遠くで女の悲鳴が聞こえた気もしたけど、おれ達にとってはどうでも良い事で、おれはあいつの傍に寄り添うように、ただ座っていた。
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