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「どうするって、ここに住んじゃだめなの?」
リフィの言葉にじいさんは申し訳なさそうに顔を伏せながら言う。
「リフィよ……、忘れてはないじゃろう。ここは人間型精霊の隠れ里じゃ…。得体のしれないサクヤ君を置いとくわけにはいかんのじゃよ」
「そんな………」
それは俺も予想外だ……。まさかここが隠れ里だなんてな……。
俺はベンチから飛び降り、広場から出ようと考える。
「サクヤ!?」
「俺はここにいてはいけないのだろう?だったら俺はここから出なくちゃ」
俺の言葉にじいさんは反応しない。
「じゃあなリフィ、じいさん」
そう言って俺はこいつらと別れるつもりだった。
だが、ふとじいさんの唇が動いた。
「だがなサクヤ、方法がないわけじゃない」
………それを先に言えよ。
「おじいちゃん!」
ほら、リフィも少しお怒りだ。
「いや、な……。ちょっとした出来心じゃよ」
ほう。つまり俺は、あの爺に遊ばれたのか………。
なるほどなるほど。
「ど、どうしたんじゃ二人とも」
「覚悟は」
「できてるだろうな?」
広場にじいさんの叫び声が響きわたっとさ。
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