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「起て……起き…て…………起きて!」
「うわっ!?」
耳元で大きな声を出されたら誰だって起きる。
唸りながらゆっくりと声がした方を振り向くと、一人の少女が俺を見ていた。
誰?それが俺の率直な感想だった。
「おはよう狼さん。貴方はなんでここで寝ているの?」
少女は不思議そうな目で俺を見ながら問い掛けてきた。
なんでここで寝ているか?それは俺の家からだろうとすぐに言うつもりだったが、俺は言い留まった。
今、少女は俺のことを狼と言った。
どういうことだ?俺はれっきとした人間だ。狼などではない。
俺は起き上がって、不法侵入したであろう少女を叱ろうとしたが俺は気付いた。
いつもよりも目線がかなり低いことに………。
「狼さん?」
少女は不思議そうな目で俺を見てくる。
俺はとりあえず辺りを見回した。
…………明らかに俺の住んでるマンションではなかった。
どういうことだ?目線は低いは、知らない場に俺はいるは、目の前では可愛く小首を傾げる少女がいるは、………まったくもってどういうことだ?!
「あれ?狼さん左目眼帯してるね。怪我してるの?」
少女は俺の顔を見ながら呟く。
「治してあげよっか?」
そして少女が俺の眼帯に手をかけ、……眼帯を取った。
瞬間。俺の視界が変わる。
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