第一章、破壊神と呼ばれし彼女。

11/12
前へ
/26ページ
次へ
「ユゥちゃんってば、あんなに遅刻してくるんだもん、来ないのかと思っちゃったよぉ」 ドラムスティックを両手に握りしめた、ふわふわの髪をツインテールにした少女が言う。 「ユゥが来ない訳ねぇって、オレ何回も言ったんだぜ?」 金髪にピアスと、いかにもチャラそうな──悟樹に匹敵する程だ──少年が、ベースを手に苦笑する。 「遅れた詫びに、後でジュース奢れよ」 見るからに大人しく真面目そうな少年が、眼鏡を押し上げ、エレキギターを下ろす。 「ごめん、なんか風紀委員に捕まって、反省文書かされてたっ」 ぱちりと両手を合わせ、由宇は頭を下げた。鞄を床に置き、ケースからギターを取り出す。 空色カーニバルと称する、高校生4人のアマチュアバンド。全員が、天乃橋市内の違う学校に通っている2年生だ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加