15人が本棚に入れています
本棚に追加
「ユゥちゃんってば、あんなに遅刻してくるんだもん、来ないのかと思っちゃったよぉ」
ドラムスティックを両手に握りしめた、ふわふわの髪をツインテールにした少女が言う。
「ユゥが来ない訳ねぇって、オレ何回も言ったんだぜ?」
金髪にピアスと、いかにもチャラそうな──悟樹に匹敵する程だ──少年が、ベースを手に苦笑する。
「遅れた詫びに、後でジュース奢れよ」
見るからに大人しく真面目そうな少年が、眼鏡を押し上げ、エレキギターを下ろす。
「ごめん、なんか風紀委員に捕まって、反省文書かされてたっ」
ぱちりと両手を合わせ、由宇は頭を下げた。鞄を床に置き、ケースからギターを取り出す。
空色カーニバルと称する、高校生4人のアマチュアバンド。全員が、天乃橋市内の違う学校に通っている2年生だ。
最初のコメントを投稿しよう!