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「神威さん!」
大声と共に、悟樹の足音は五組にどんどん近づいてくる。由宇は耳を塞ぎたくなってきた。
威圧感のある名字を、由宇は欠片も気に入っていない。それを廊下で連呼されるのは、もはや拷問にも等しかった。
「神威さん、反省文だよ! 今日の放課後、三階の空き教室!」
「あいつ、ウチのクラスの風紀じゃねぇよな?」
廊下から聞こえてくる、悟樹の完全に独断の命令。仕事熱心すぎる悟樹に、クラスの誰かが呆れた声を出す。
由宇はガックリ肩を落とした。
「今日、バンドの練習あるのに…」
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