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「ほら、どこか適当に座って」
焦げ茶色ではあるが、間違いなく染められた髪。
「今日はとりあえず、三枚でいいかな」
細い眉。
ついでにカラコンで灰色の瞳。
「あれ? 座らないの?」
白いカッターシャツに透ける右の上腕には、由宇も本物は初めて見るが、タトゥー。多分、龍か何かが腕に巻き付いているようなデザイン。
「立って書いてくれても構わないけどさ、疲れるよ? 座って座って」
悟樹は、由宇の抱く“風紀委員は生真面目”という先入観を、ことごとく破壊した。へたすれば、いや間違いなく、その辺で生徒指導の教師に捕まっているヤンチャな奴よりも……チャラい。
それこそ崩れるように、由宇は近くにあった椅子に座る。鞄から筆記用具を出して、渡された原稿用紙を睨む。
「…で、何を書けと?」
「そうだね、今回書かされた理由と、それに対する反省でも書いてくれる? 適当でも許すから」
むしろ反省文を書かされそうな出で立ちで、悟樹は言った。
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