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「…これでいい?」
しばらく後、由宇が放り出した原稿用紙には、七割ぐらいが判読不可能な文字が書き殴られていた。
「…まぁ、いいかな」
それにざっと目を通し、悟樹は頷く。由宇はペンケースを鞄に投げ込むと、
「それじゃ」
エレキギターの入った黒いソフトケースを背負い、教室を出ようとした。が、
「神威さん、バンドでも組んでるの?」
悟樹に呼び止められ、由宇はイライラ満載の顔で振り向いた。
「…やってるよ。ギター兼ヴォーカルなんてさせてもらってますけど何か?」
「作曲してるのかい?」
「してない。今は『クラッシャーズ』ってバンドの曲をさせてもらってる」
『クラッシャーズ』とは、ここ最近人気の四人組バンドだ。バラードからポップスまで歌いこなす、言うなればぽっと出のバンド。
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