静かな衰頽

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 祈るものはその身が朽ち行く道を歩む。  気づかぬうちに魂は捧げられ、在るべき場所から外れてしまう。  魂の不在は祈りが奪われたとき、絶望によって支配される。  崇拝は歩む道を歪めてしまう。  精神は一つの色に染められ、成すべき行為を失わせる。  歪に成熟した精神は寂寞の未来を傍観する。  信仰は歪んだ理知を育む。  盲目の民は姿無き声に導かれ、克己のままに服従を示す。  やがて嘘が暴かれたとき、抑えられていた狂気は剥き出しとなり暴走する。  始まりには落ちるものが見える。  それが現れたなら諦めるがいい。  終わりを免れることはできない。
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