第五章(3)

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「二人ともこれを見て。」 「『我が街の歴史』? 随分背が高い本だなぁ。 それに厚みもあるし。 これがどうかした?」 ハルキが僕の隣に来て、小声でそう聞いた。 「この本。ケースがあるんだ。 国語辞典とか英和辞典とか、卒業アルバムなんかについてる本のケース。 その一つに『貸出中』ってシールが貼ってあるんだけど。 これって変じゃない? 普通ケースごと借りていかないかな。」 「そうね。 それに見て。 『貸出中』以外にも同じ本が二冊あるわ。 こういう本、この図書室ではあっても二冊くらいなのに。」 僕は『貸出中』とシールが貼られたケースを手に取った。 そして、中を覗くと一冊のノートが入っていた。 「これって、ショウタとナオミが交換していた もう一冊のノートじゃないかな?」 ノートの中を見ると、 ミナの言った通り、 僕が前に探していたもう一つのノートだった。
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