第一章(2)

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イジメられっ子が、イジメっ子に仕返しをしている。 それをみんなが自業自得だと、今では顔を背ける者もいない。 このままじゃいけない。僕はそう思った。 リエが床についたケチャップを泣きながらなめ始めた時、僕は言った。 「このままだと、アキラとリエは自殺してしまうかもしれないぞ。 みんなはそれでいいのか?」 すると、窓際からクラス一の秀才・シュウイチが口を開いた。 「じゃあ、タケル。君にこのゲームを止めることが出来るのか? このままメールの指示に従っていれば、僕達には何の被害もない。 だが、2年A組の亡霊の正体を突き止めようとして、万が一間違った場合、クラス全員の秘密が公開されることになる。 その方が、リスクが高いだろ。 だったら、このまま指示に従っている方が利口じゃないか?」 僕はシュウイチの方に向き直り言った。 「そうだよ。シュウイチの言う通りだよ。 でも、自分達には何も被害がないからって、イジメを放っておいた結果、ショウタとナオミは自殺したんだ。 そりゃあ、アキラとリエが仕返しをされるのは自業自得だけど、このまま悲劇を繰り返していいのか?」
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