73人が本棚に入れています
本棚に追加
「私は作法とか護身目的で、剣術をやってるわけじゃないの。剣術が好き。だからもっと強くなりたい。その気持ちに、男も女もないでしょ?」
柚音は静かだが、決意を秘めた強い声音で多津彦を見上げた。
多津彦は少し彼女を見つめた後、柚音の肩に手を置くと、小さく首を振った。
「それは子供の間の話だ。おまえがまだ子供だったから、剣術をやることを許されていたんだ。」
聞き分けのない子供に言い聞かせるように、ゆっくりと言う。
「でもおまえはもう年頃の十七だ。女は誰かに嫁いで子供を産んで、家を守らなきゃならない。剣の道へは進めないのは、わかってるだろう?」
ぱしっ
柚音は肩に置かれた手を払いのけた。
最初のコメントを投稿しよう!