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「遅れてゴメンね」
顔を上げると優しく微笑むアナタ。
「…どうかした?」
「…あ、ううん。なんでもない…ちょっと思い出してただけ」
「思い出してた?…あ、どーせ、あの時の事でしょ?」
「フフッ、分かった?」
「ったく、雨が降る度思い出すんだから…」
「ゴメンゴメン、…だって本当に悲しかったんだから、…広瀬くんが来なくて」
「だから、あれは…」
「あれはー、楽しみにし過ぎて眠れなくて寝坊したんだよなー」
「カス本!」
須本が広瀬くんの後ろからヒョコッと顔を出した。
「お前ね…未だにカス本って呼ぶなよ…」
「何でカス本が?」
「さっきそこで捕まった」
「おい!ソコ流すなっ!!」
「二人って…仲良かったっけ?」
「男ですから」
「?」
須本を見ると、コホンと咳ばらいをして広瀬くんと同じポーズを取る。
「男ですから」
「カス本、意味わかんない」
「テメ…広瀬のときと態度が違うじゃねーか!バカタギリが…」
「あっ、もうバカタギリじゃ…」
須本が私の頭を小突こうとすると後ろからフワッと抱きしめられる。
「ひ、広瀬くん?」
「明日には君も広瀬さんでしょ?…だからもう手、出さないでね?カス本さん…」
「…ぐっ、…チェッ、…はいはい分かりましたよー。…んじゃ、折角だから飯でも行こうぜ!」
「あ、賛成ー!!」
「何か食べたいのある?」
「えーっとね…」
「なぁ明日、式って何時から?」
「もぅ!バカス本、式はぁ…」
………
高校三年生、私は年下のキミに恋をした――。
私のハツコイ――。
嬉しい気持ちも悲しい気持ちも全部教えてくれたのはアナタ。
私は、今でもキミに恋してる。
これからも、ずっと――。
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