シングルマザー

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かじかんでいた手の、指先のほうまで感覚が戻っていく。 体がある程度温まると、激しい頭痛が頭の内側から外側に響く。 体がだるい。 「部屋どこ? ってか、私、いきなり部屋上がって迷惑じゃない?」 ……ここまで来といてそんなこと言われても…… なぜか髪型を気にし始める若葉。 「大丈夫だよ。親、今日は仕事で帰ってこないから」 父さんはいない 父さんがいなくなってから母さんはシングルマザーで、泊まりがけで働く日も少なくはない。 息子の学費やら食費やらを一人で稼ぐのは、そう簡単なことではないらしい。 昔いた父さんは 海にダイブしたあの日、姉ちゃんと共に姿を消した。
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