跳べない兎

シングルマザー

「部屋、二階だから。」

すでに一階に降りていたエレベーターに乗り込む。

[2F]のボタンを押して、[閉]のボタンを押す。

この一つ一つの動作が

まるで水の中で動いているように重たくて

少し息を吐いて、ボタンから手を離すと

視界の隅からうっすらとした闇に覆われていった。