恨み

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部屋だ。ボクの。 壁のシミ。窓の位置。そして、まだ小さい頃の家族写真。 行方不明の父さんと姉ちゃん、まだ若い母さんと幼いボクも揃ってポーズをとっている。 写真の中の父さんと姉ちゃんの笑顔が歪んで見えるようになったのは、いつ頃からだったろうか。 渡された水を手に取りながら、ふとした疑問を口にしてみる。 「わざわざここまで運んでくれたの?」 若葉は膨れた。 「大変だったんだよ。キミは突然倒れるし、周りに人はいないし…だいたいこの部屋って二階の一番奥じゃん? 一つ一つ名前の標識追ってったから、くたびれちゃった」 そこでやっと安心したように、若葉は床に座り込んだ。
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