居場所

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陸が目が覚めると知らない部屋で寝ていた。 「えっ?」 ―確か俺は、自分の部屋で寝てたはず…… 「はぁ、やっと起きたのね」 知らない少女の声が聞こえた。 「!?誰だ!」 陸が部屋の入口に視線を動かした。 そこには、12、3歳くらいの少女が お盆を持って立っていた。 「人に名前を訊く前に 先に自分の名前を答えるのが 礼儀だと私は、思うのだけれど…… 間違ってたかしら?」 少女は皮肉を良いながら ベットの隣にある机の上に お盆を置いた。 お盆の上には、パンとサラダと 温かなスープが乗っていた。 陸はそれを横目で見た後 少女に視線を向け直した。 「すまない」 「別に良いわ。 で、あんたの名前は?」 「ああ、俺の名前は……」 ぐぅぅぅ 陸の腹がなった。 「「……………」」 少しの沈黙にピリオドを打ったのは少女だった。 「先に食べちゃって。 冷めたスープは、食べさせたくないし」 少女は、そう言って陸にお盆を渡した。
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