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それはバス停で起きました。
私はいつものように早い時間に家を出て、バス停のベンチに腰を下ろし、鞄の中からカバーに覆われた文庫本を取り出しました。
ロバート・A・ハインラインの『夏への扉』。私のおすすめの一冊です。少々ベタかしら。まあ、お暇な時にでもよろしければ読んでみてくださいな。
そう、私はバス停のベンチでバスを待つまでの間、小説を片手にそよ風に髪を撫でられるこの優しい時間が好きなのです。
何てことの無い、ただのバス停なのに、まるで私だけの特別な空間のように思えるから。
実際、このバス停を利用する人は私以外にはあまり見掛けません。
無理も無いですね。こんな片田舎のバス停、利用者が少ないのは当然のこと。そうでなければ、むしろ困ります。私だけの特別な空間なのだから。
そう、私がいつものように、せめてこの瞬間くらいは優雅にと、上品に股を閉じて女の子らしく座りながら読書をしていた時。
小さな子供がやってきました。
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