壱 鬼塚ギンコ

5/14
前へ
/14ページ
次へ
私が顔を上げると、そこに立っていたのはやはり子供で、年齢は見たところ、多分6歳か7歳くらい。 Tシャツに短パン姿というまさに子供の男の子スタイルで、にやにやと笑いながら私を見ていました。 「お姉ちゃん」 彼はもう一度、そう言いました。 「あら、どうしたの? 見たところ、私の知り合いではないみたいだけど。あなたは?」 私はそんな感じで、出来るだけ可愛らしく見えるように首を傾げながら答えました。 私は幼い頃から、少しでも仕草や言動が他人から見て、可愛らしく見えるように努力しています。 何故かというと……いいえ、それはまた後で説明するとしましょう。別に構いませんね。順番というのは大した問題でもないでしょう。 「うわああ! 鬼だああ! 逃げろおお!」 そう叫んだかと思えば、彼は走り去ってしまいました。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加