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俺が記憶を無くしたのは五年前。
次の取引先に行く際に信号待ちしていた俺の所に、車が突っ込んできて記憶を無くしたらしい。
事故後の俺の中に残っていた記憶は、親と会社に勤めていたこととこの隣にいる親友の山下のことくらいだった。
上京して、三年間の記憶はほとんど思い出していた。
って言っても山下と一緒に働いていた記憶がほとんどだったから思い出すには足りず…
俺の無くした記憶と言えば………
高校までのここで過ごした時間だった…。
幸いなことに、生活するために必要な記憶は覚えていた。
会社での仕事内容も一ヶ月くらいで思い出して、同僚や上司の名前も後からゆっくり思い出した。
事故にあってから半年くらいが経って、一度この故郷の話を山下に聞かされていたのだが、俺はその時、仕事に力を入れていたので記憶の事は後回しにした。
昔の記憶がなくても、特に生活には支障が無かったし、頭を強く打った以外は身体に大きな怪我はなかったのですぐに職場にも復帰出来た。
そして何事もなく、事故から五年が過ぎようとしていた時………
俺はここに来る二ヶ月くらい前から、毎日同じような夢を見るようになった。
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