第1章

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日に焼けて黒くなった肌に刻まれたシワや、白くなりかかっている髭が『老練』という言葉を連想させる、いかにも職人気質な風貌の父親。 そんな彼の姿を見るなり、心炎は面倒そうに口を開いた。 「何だよ、親父……。休みくらい寝かせろよ」 「まぁ、そう言うな。新しい打ち上げ機械の試験すっぞ」 よく見てみると、作業に参加している仲間たちは、職場でも腕利きとして重宝されている人間ばかりだ。心炎もまた、彼等の技術を盗んでいる最中である。 “いや……チャンスか” その瞬間、心炎が父親を見つめる瞳に、光が宿った。 「すぐに準備してきます」 先ほどまでの生意気な調子は一瞬で消え、心炎は廊下を戻っていく。 「おやっさん、心炎のアレ、いつ見ても凄いねぇ」 焔と年の誓い職人が、焔に話し掛けると、彼は「ヘッ」と楽しそうに笑った。 「やっと楽しくなって来たんじゃねぇか? 悪ィが、いっちょ頼むわ」 「毎度のことよ、気にすんねぃ」 「おぅ、頼んだぜ。っしゃあ! 大丸屋ァ、始めんぞ!!」 『応ォッ!!』 焔の掛け声に、職人たちが楽しそうに叫ぶ。 もちろん、廊下の奥から一際大きな声が上がったのは言うまでもない。
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