暁の光と蒼の邂逅

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完全に見失った…。 国のワケの分からない 勇者大量生産によって オリジナルから造られた プロトタイプの召還獣が そこら彼処で力を使う。 それに惑わされて 俺は緋路を見失った。 忌々しい…。 とにかくムカついたから、 その造られた獣を勇者ごと 圧し潰してやった。 なにが勇者だ。 燃やされて死ぬよりは 死なない分だけマシだろう。 そんな加減など 緋路には出来ないのだから。 奴を何とか追えた場所から 一番近い街へ辿り着いた。 緋路の気は感じない。 きっとここには居ないだろう…。 治まらないムシャクシャを 紛らわそうと飲み屋に入った。 …あの蒼い目。 なにも伺い知れ無い。 この俺が…。 あれほど殺意を込めて見たのに その視線は確かに重なったのに ただの風景を見るような いや、最早空気のように あの召還者の気は 揺らぐことさえなかった。 調子が狂う。 そのことに動揺した所為で 追跡さえも、しくじった。 マジムカつ… 「ねぇ、」 肩をぽんと叩かれた。 「ぁあっ!?」 気易く触んじゃねぇよ! 振り向いて睨み付けたら ひょろっとした笑顔の男。 「何か情報ない?災厄の獣の…」 「はぁ?」 「アレ?知らない?お上りさん?」 何だ…こいつ。 .
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