【第1章】

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       ゆっくりバスタイムを堪能した後、彼女は優雅な手付きでモーリーが用意してくれたお茶を淹れた。  さすがはモーリー、普段は「お茶」と言えば紅茶を用意してくれるのだが、今日はアニスの疲労回復を考えてであろう、リラックス効果のあるカモミールティーが用意してあった。  よく見ると、小さな小皿に美味しそうなクッキーも乗っている。 『甘い物は疲労回復にいいものね、さすがモーリー。きっと彼女の手作りね……』  アニスはモーリーのさりげない心配りに感謝しながら、ゆったりとお茶を飲みクッキーをつまんだ。  だが、お茶を口にして一息つくと、今回の戦利品が気になって仕方なくなって来た。 「……せっかくの美しい品をいつまでも狭いスーツケースに閉じ込めておくのは可哀想よね……」  そう呟くと、彼女は飲みかけのティーカップを驕奢なテーブルに戻し、まだ鍵のかかったままのスーツケースにそっと近づいていった……。        
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