恋慕

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「おっ、帰ったか。 随分遅かったがどこに行っていたのだ?」 智美は家に帰ると珠子に質問にあった。 現在智美は珠子の家に居候している。 「懐かしい人に会ってきたの。」 「誰だ?」 「大神大尉。」 「ああ、あの堅物か。 確か北海道に行っていたのだな、元気にしていたか?」 「ええ、元気だったわよ。 ただ、以前より威厳が増したわね。 相変わらず堅物だったけどね。」 「ほう…」 智美は珠子が集めた資料を大神に見せたことを話した。 憤慨していたことを告げると、珠子は言った。 「今の陸軍を変えるのはあの堅物以外にいない。 人一倍正義感があるような男でなければ、腐敗した組織を変えることは難しい」と語った。 智美は呟く。 「彼なら…できるわよ。 必ず陸軍を変えてくれるはずよ。」 珠子はニヤリとしながら返す。 「あの堅物に惚れたか?」 「勘違いしないで。 ただ、以前より頼もしく見えたのよ。」 そのころ、大神少佐は今日のことを日記に記している。
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