序章

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智美は墓に向かって大神大尉が死んでからの三年を語り始める。 「今は昭和六年。 帝都が崩壊した年に鋼さんは、くらがりさんと共に大陸に渡ったわ。 くらがりさんは、今は家族と幸せに暮らしているわよ。 私と珠子は地方で新聞社を立ち上げて、今の日本のあり方が間違っていることを多くの人に伝えることに心血を注いでる。 鋼さんは故郷の父親が亡くなったのを知って、日本に帰ってきてたの… 今の日本軍、特にあなたが変えようとしていた陸軍は……………」 智美は黙りこくってしまった。 彼、大神大尉が変えようとした陸軍。 なぜ彼が死ななければならなかったのだろうか? これから始まる物語は大神大尉の日記と智美、珠子の調査によって書かれたものである。
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