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我威亜党による帝都崩壊から二年。
大神大尉は北海道での任務を終え、帝都に帰ってきた。
列車を降り帝都の玄関口、帝都駅。
帝都が崩壊する前、そこでは闇商人が武器や野球人形の部品を売っていたものだが、今では見る影もない。
その頃は誰でも選挙に投票できるようにする、普通選挙権を求める演説が行われていた。
「コラァ、そのような演説はしてはならん!!」
大尉の配下の兵が演説を止めさせ、群衆が散っていった。
「あら、あなたは…大神大尉?」
マフラーを巻いた赤毛の女性が大神大尉に話し掛けた。
「なんだ貴様は、大神大尉になにか?」
配下の兵が智美を睨み付けながら受け答えをする。
「あ、あなたは智美さんではありませんかっ!?」
大尉の声が裏返っている。
大神大尉と智美は古くからの知り合いで、大尉は智美を尊敬し、好意を持っていた。
我威亜党との戦いの際にも共に戦った戦友である。
「北海道での任務、ようやく終わったのね。
ごくろうさま。」
配下の兵からすれば、尊敬する大神大尉に対する、あまりにも馴れ馴れしい智美の態度は許せるものではなかった。
「貴様、大神大尉に向かってなんという口の聞き方を!!」
配下の兵が激昂する。
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