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「…………私は自分の考えを変えるつもりはありません。
失礼します。」
大神は一礼して、部屋を出た。
「…………おのれ、大神めワシに逆らうとは。」
そう漏らした時に、ふっと誰かが任月少将の部屋に入ってきた。
「どうなされました、任月少将。」
「フン、曽根村か。
まあ、いい座れ。」
「大神少佐の件ですかな?
それなら私も聞き及んでおります。
北海道でずいぶん思い切ったことをしたそうで。」
「大神は兵士としては不適格な者達を大勢解雇し、それによって北海道の兵は減らすようなことをした。
何年か前に軍縮令が出されたが、それに合わせている。
ヤツの父は政治的な権力を持っているからのぅ。
圧力がかかったに違いない。」
「ですがその代わりに兵士の質は高まり、北海道の駐屯兵は日本で有数の勇敢さを持っていると聞いています。
それに、大神少佐は北海道ではかなり兵士に慕われていたようですね。」
「貴様は、ワシの息子の駆を知っておるな?」
「は…、今は兵長でしたね。」
「駆は我が息子ながら今一つ気骨に欠ける臆病者じゃ…………
もし、ヤツの改革が行われたら駆は必ず罷免されよう。
ワシとしてはそのようなことになりたくはない。
大神は陸軍大将の名の下に改革を行っているからのぅ…」
大神は、陸軍大将から陸軍の改革、゙強い陸軍゙を作ることを命じられており、そのために改革を行っていた。
陸軍大将の懐刀だった彼は北海道で陸軍の改革のデモンストレーションを行っていたのである。
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