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ブレアさんはそれを受け取ると、
「あら、もうそんな時期なのね。わかりました、直ぐに書面を確認してサインしてくるから、少々お待ちになって頂けるかしら? 幸い、今日は娘もキアさんの知己もいらっしゃるようですし」
キアを自分の代わりのように座らせ、ガルフさんを伴って部屋を退出した。
去り際に「それではごゆっくり~」と言っていたが……何がどこまで本気なんだろうか?
「お久し振りです、キアグリス様」
「ええ、久し振りですわね、チェリーさん」
立ち上がり丁寧に頭を下げるチェリーとそれに応えるキア。うーん、教養のない俺としては、なんとなく場違いな気がする。
「キアとチェリーって知り合いだったんだな」
居心地の悪さを誤魔化すように質問すると、チェリーがそれに答えてくれた。
「はい、プロード家とアリア家は昔から親交があるんです」
「へぇ~~、じゃあさっきの契約書って言うのは……って、聞いちゃまずかったか?」
「別に知られて困るような物ではありませんわ……というより、この街で知らないのは貴方ぐらいなものですわ。貴方、プロード家の領地の事についてはご存知?」
プロード家の領地………キアや従者のカナリアの実家の事か?
えーと、なんだっけ? 聞いた事はあるような……
「……あ、カナリアは漁師の娘で、キアはタコがにが…じゃなくて、海に面した一帯が領地って言ってたっけ?」
凄く怖い目で睨まれてしまったので、慌てて軌道修正。
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