お宅訪問~チェリー編~

14/21
19178人が本棚に入れています
本棚に追加
/1184ページ
――――― ――― ― ブレアさんの好奇心を満たすように質問に答えつつお饅頭を(主にギンが)消費し、時折チェリーの補足が入りながらお喋りをしていた時。 室内のノックの音が響き、再び老執事のガルフさんが現れた。 「奥様、ご歓談中の所を申し訳ありませんが、お客様がお見えになっております」 恭しく頭を垂れるガルフさんの後ろ、見覚えのある顔が…… 「あら、どうして貴方が此処にいらっしゃるのかしら?」 「げっ……」 茶髪のポニーテールに赤い瞳、魔族の貴族キアグリス・プロードことキアが、何やら封筒のようなものを持ってそこにいた。 「ワタクシの質問に呻き声で答えるなんて、いい度胸ですわね……?」 「あ、あはははは……い、嫌だな、冗談に決まっているじゃないか。久しぶり、キア」 決して嫌いじゃないし、尊敬できる部分も多々有るんだけど、なんとなく苦手なんだよな。 理由さえあれば積極的に勝負を仕掛けてくる所とか。 「……まあいいですわ、今日は貴方に用が有る訳じゃないですから。 ……ブレア様、父に代わりこちらの契約書をお持ちしました」 俺を一睨みするだけで済ませると、ブレアさんの前に立ち頭を手に持っていた封筒を差し出した。
/1184ページ

最初のコメントを投稿しよう!