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ブレアさんの好奇心を満たすように質問に答えつつお饅頭を(主にギンが)消費し、時折チェリーの補足が入りながらお喋りをしていた時。
室内のノックの音が響き、再び老執事のガルフさんが現れた。
「奥様、ご歓談中の所を申し訳ありませんが、お客様がお見えになっております」
恭しく頭を垂れるガルフさんの後ろ、見覚えのある顔が……
「あら、どうして貴方が此処にいらっしゃるのかしら?」
「げっ……」
茶髪のポニーテールに赤い瞳、魔族の貴族キアグリス・プロードことキアが、何やら封筒のようなものを持ってそこにいた。
「ワタクシの質問に呻き声で答えるなんて、いい度胸ですわね……?」
「あ、あはははは……い、嫌だな、冗談に決まっているじゃないか。久しぶり、キア」
決して嫌いじゃないし、尊敬できる部分も多々有るんだけど、なんとなく苦手なんだよな。
理由さえあれば積極的に勝負を仕掛けてくる所とか。
「……まあいいですわ、今日は貴方に用が有る訳じゃないですから。
……ブレア様、父に代わりこちらの契約書をお持ちしました」
俺を一睨みするだけで済ませると、ブレアさんの前に立ち頭を手に持っていた封筒を差し出した。
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