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掴まれる力が意外にも強くて。
動揺して思わず合わせてしまった目が真っ直ぐで。
振り払えない、逸らせない。
「せんせ……」
私の鼓動、掴まれた腕からきっと伝わってる。
こんなにざわついているんだから、もしかしたら音だって聞こえてしまっているかもしれない。
私にもこんなにもはっきりと聞き取れるんだから。
こんな私、今まで知らなかった。
「小林さん」
何度も先生の声で呼ばれる私の名前。
もう、呼ばないでほしい。
どうしたらいいのかわからなくなる。
この場から逃げたいという思いすらも消えてなくなりそうになる。
ドキドキして落ち着かなくて……でも、もっと呼んでほしくなる。
でも、そんなのおかしいよ。
そんなふうに思うなんて、私が先生を……。
「好きみたいなんです」
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