プロローグ

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(・・・拳銃でいいか。) 先程取り出した符の一枚が発光し、リボルバー式の拳銃になった。 懐の中から二、三発のの銃弾を取り出し、リボルバーに装填していく。 カシャッとリボルバーを戻し、装填が終え、 「ハァ・・・ハァ・・・。」 同時にバタンと勢いよく屋上の扉が開いた。 逃走していた中年の男が数歩進み、立ち止まる。 「誰だ!?」 その男は自分の姿が視界にはいると、とっさに拳銃を構えた。 まあー当然ながら俺が焦る必要はない。 こんなの見なくたって、相手が銃器に関して素人だってわかるのだから。 「・・・大手薬品メーカーの社長さんのお出ましってか。」 ボソリと呟いてから、ゆっくりと後ろを向く。 右手に握ったリボルバーはまだ構えない。 「多くの薬局を保持し、様々な薬品を作っている有名企業。」 「?」 「しかし、その裏では同時に大麻や麻薬を密売しており、そのルートの保護もしている。」 「!?」 男の表情が急に一変した。 反射的に拳銃の引き金を引き、銃弾を放つ。 勿論自分に当たらず、近くの手摺りに直撃した。 「因みにそのルートならもう潰しておいたぜ?それに、裏の工場もな。」 「ひっ・・・。。」 「で、後はあんただけだ。」 パァン、パァンと何度も銃弾を放つが、当たらない。 それもそうだ。手が震えて照準が合わないのにどうやって当たるんだよ。 「会社の事なら安心していいぜ?どうせ優秀な社員がいるんだろ?」 「ひっ・・・ひぃ・・・。」 カチン、カチンと男の拳銃にはもう弾がなかった。 今度はこちらがリボルバーを向ける。 「今までは日本の為に尽くしてきたようだが・・・今度は日本のために死んでくれ。」 「あ・・・あ・・・。」 「じゃあな。」 AM2:30。 暗い静寂とした街の中に、二発の銃声が鳴り響いた。
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