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昔ある教会に一人のヴァンパイアが棲んでいた。
そのヴァンパイアは、強く美しく、そして優しい。だがとても心の弱いヴァンパイアだった。
多くのものが、その美しさに惹かれ近づいていった。
しかし、魔のものだとわかるとすぐに遠ざかっていく。
心の弱いヴァンパイアは、その繰り返しに次第に心と、魂を、凍りつかせていく。
そして、近づいてくるものを次々と殺めていくようになる。
『去っていくなら、それでまた傷つくぐらいなら、もう何もいらない。近づかせない』
時がたち教会は蔦に覆われ、周りには人の死体と、それに群がるカラスたちが飛び交うようになっていた。
そこには教会の面影はなく、
「死者の館」
そう呼ばれるようになっていた。
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