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公園の隅の、植え込み前のベンチにヒロがちょこんと座っていた。
アタシとコウは植え込みに隠れるようにベンチに近づく。
死角になる場所を探して目立たないように座り込む。
「まさか仕事以外でこんな所に張り込むことになるとは……。」
「ヒールが土に埋まるー……。」
土と葉っぱがこの上ないくらい不快だ。潔癖症なコウも複雑な表情をしている。
そこまでしても張り込む理由は、「好奇心」それだけのみ。
恋するヒロなんてあまりにも意外で面白い。盗み聞きなんて趣味が悪いかもしれないが、今日のアタシ達は止めるなんて無理。
植え込みの向こうからはヒロの「あー……」とか「うぅー……」とか言ってる声が聞こえる。サミーが来るまで緊張で落ち着かないのだろう。
「来た。」
コウの声で耳をダンボにして準備を整える。植え込みの向こうから「待った?」「いや、全然っ!!」と言うベタベタな会話が聞こえてきた。
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