朝食はバラの香り

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「コウー!!」 叫びながらドアを乱暴に開ける。 「どした?メイ。」 まだ青白い顔をしたイケメンがカウンター席でコーヒーを啜っている。 「どしたじゃないわよー!!アナタまたアタシのトリートメント使ったでしょー!?」 コウには何度も前科がある。コウの髪質は程よいサラサラストレートなのだが、手入れを怠ると針のように固くなってしまう。刺さると本当に痛い。まさにダイヤハリネズミ。 そのためこっそりアタシの高いトリートメント類を使いやが……あっ、失礼。勝手に使ってしまうのよ。困っちゃうわよね。 「アタシのトリートメント……。」 お宝を狙う時より真剣にコウを睨み付け距離を縮める。 「トリートメント?使ってないけど……。」 コウは怪訝な表情でアタシを睨み返す。 「嘘おっしゃいー!!コウ以外に黙って使う人なんかいないんだからー!!」 飛びかかり首を絞める。今日こそはしっかり言っておかないと姉としての威厳がなくなってしまう。 「ぐっ……、俺じゃない俺じゃなー……」 更に青白い顔になったコウの首を絞めたまま振り回す。 その時、リビングのドアが勢いよく開いた。 「ただいまー!!コンビニ行ってきたぜー!!お前らもなんか食うか?」 バラの香りをプンプンさせた筋肉バカが帰ってきた……。
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