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深旅はその告白を真摯に受け止めていたし、周りにも一言もばらしたりもしなかった。
幼馴染みである僕にだけ中学生になってから教えてくれた。
当時は深旅の何がそんなに気になるのかと疑問に思ったが今ならわかる。
好きだからいじめていたんだろう。
その頃の深旅といえば、明るく誰とでも仲良く接していて、クラスの男女間でケンカがあれば深旅がまとめていた。
そんな深旅を一部の男子がいじめだした時はみんな戸惑った。
しかし、深旅の立場になりたくないという気持ちの方が強かった。
それでも男好きする女の子以外の女の子たちは普通にしてくれた。少しよそよそしくはなったけれど。
深旅は気にした様子を見せなかった。
僕はと言うとクラスの男子の手前、仲良くするわけにもいかず、かと言って家族同士交流のある深旅をいじめるなんてことは出来ず登下校は少し離れて歩き、学校では一切言葉を交わさなかった。
いじめを止めるなんて出来るはずもなく離れて見ているだけだった。
深旅は情けない僕のことをどう思っていたのだろう。いつも通り何事もないように接して、僕が避けていることを追及することもなく家では幼馴染みとして仲良くしていたけれど。
そんな深旅を僕は傷つけてしまった。
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