―灰色の空―

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タツハを見ると…笑ってやがった。 「なんだよ?」 「だって、要ちゃん自分の事だとマイナス部分しか言わないんだもん」 俺の事さえ良く言ってくれたのに、と少しだけ苦笑い、ほとんど笑いながらタツハは言った。 「雨の日だって嫌なことばかりじゃないでしょ?『恵みの雨』って言うくらいだし。晴れの日ばかりだと疲れちゃうじゃない。雨って静けさがあって俺は好きだけど。『灰色の空』の日って、ゆっくりくつろげる日だと思うよ?」 …ちょっと驚いた。 『ソレ』が私だとは思わないけど、そういえば雨や雪の日はとても静かで心が落ち着く。 ちょっと肌寒くて外に出る気にはならないけど、窓越しに音のない外の世界をボ~っと眺めるのは好きだった。 「俺は要ちゃんといると落ち着くよ?だから要ちゃんの『灰色』はそんなカンジ」 穏やかに笑うタツハに、やっぱり私は落ち着かない。 だからソレは私じゃないっつーの。 「要ちゃんさ、部活やんないの?」 「なんだよ?急に」 あ、でもそれだと帰りが遅くなって余計危ないか…とかなんとかぶつくさ言ってる。 その前に部活やる気ないって。 そんな団体行動苦手なの知ってるだろ? 「要ちゃん、空や色が好きだから写真部とか美術部なんて良さそうかなって。それにそれだと個人の作品だから人に合わせなくていいでしょ?」 「…まぁ、そうだけど…」 今までの話題そっちのけで急に部活の話…やっぱりわけわからん。 .
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