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「………ご愁傷様」
小学校からの付き合いで、この嘘のような本当の出来事を想像できたのだろう。
竜羽は「朝からお疲れ様」と俺を労った。
「バイクで来ようと思ったんだけど、親父の奴カギ持ったまま寝やがって…!」
カギを取る際、起こしてまた撃たれたらたまったものじゃない。
それこそ踏んだり蹴ったりだ。
「こういう時にかぎって誰もからんでこないしよ~」
「正当防衛」という名のストレス解消もできず…今に至る。
「でも珍しいね、拓が寝坊なんて」
不思議そうに尋ねる竜羽。
そう、俺は昔から早起きなんだ。
ある程度の睡眠時間があれば充分で、家族で唯一寝起きがいい。
まったく、少しは俺を見習えよ。
「夜中に観たかった映画がはいっててさ…」
「なるほど」
こう見えて俺は映画が好きなのを、竜羽は知っている。
「ま、触らぬ神に祟りなしって事だね」
竜羽は笑いながらそう言って、始業のチャイムと共に席へと戻って行った。
………ちぇっ。
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