―夕暮れの夜明け―

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バッコォォォン!! 「…ふぅ…」 思いっきりパンチングマシンに苛つきをぶつけて、俺は少しすっきりした。 バッティングセンターもいいけど、一人だったので近くのゲームセンターに来たんだ。 それにしても…暇人が溢れているなぁ…ココは。 こんな所に長居してもロクな事なんてない。 短い人生経験上、そんな事は百も承知だからさっさと退散するか。 そう、何度暇人に絡まれたり、絡まれたり、絡まれたり………返り討ちにしたことか…。 「ねぇ、そこのお兄ちゃん」 …遅かったか…。 「あん?」 「暇ならいいモノあげようか?楽しい世界に行けちゃうよ」 頭の軽そうな男が、馴れ馴れしく俺の肩に手を回してニヤニヤしながら言った。 あまりにふざけた野郎だったから返事の代わりに肘打ちのお礼を…。 「っっう゛…!」 当然だがその場に倒れ込む。 「せっかく気分が晴れたのに台なしにするんじゃねぇよ」 「いいモノ」って、どうせ麻薬だろ? 胸糞悪い…。 「…ってめぇ…」 腹をおさえながら男が体を起こした拍子に、胸ポケットから小さな袋と紙が一枚落ちた。 慌てて拾おうとするその手を踏ん付けて、代わりに拾い中を見る。 「16日午後5時 南倉庫」 それしか書いてなかったが、それだけで十分だった。 麻薬の取引。 つくづく頭の軽い男だ。 こういう大事なメモはすぐ処分しとけよ。 ま、記憶力なさそうだから仕方ないか。 それより…どうするかな…。 知ってしまった以上は見過ごせない。 でも、俺に足蹴にされてるこの馬鹿みたいな連中だけの取引ではないだろう。 こんなのは末端にすぎない。 俺一人じゃどうしようもないか? .
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