―灰色の空―

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「ただいま~」 「おかえり。ごめんな、帰って早々買い物行ってもらって…」 「いや、いいよ暇だし」 そう言って頼まれた玉葱などが入った袋を渡す。 ありがとう、と受け取って、真兄はそのまま台所へ向かった。 あ、私は『矢沢 要』。 この家の三兄弟の末っ子で長女。 16歳の女子高生。 制服着てりゃさすがに間違えられないけど、スカートが似合わないのは百も承知だから、必ず真っ直ぐ帰って着替えてから出かける。 制服で出歩くくらいなら馬鹿共に絡まれる方がマシだ。 で、台所で夕飯の準備してるのが『矢沢 真』(まこと)。 我らが長男、20歳の小説家だ。 私達は『真兄』(しんにい)って呼んでる。 180cmの長身で、髪も胸くらいまである。 …なのに女に間違えられる美人さん。 物腰も柔らかで一緒にいると落ち着くんだ。 …キレると一番恐いけど…。 いつでも冷静で静かな海みたいな…『青』…それが真兄…。 .
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