―灰色の空―

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「要」 「!?」 拓に呼ばれ、返事をする間もなく拳がとんでくる。 咄嗟にガードしたものの、そのガードした腕がジンジンしている。 しかも手加減しているのが、余裕の顔から見て分かるのがムカつく。 「お前さっきまた絡まれてたろ?」 「…誰のせいだと思ってやがる」 元凶のクセに。 「違いの分からない馬鹿共のせいだろ?」 …まぁ、たしかに…。 「じゃなくて、俺が言いたいのは…」 そう言いながら今度は拓の左フックがとんでくる。 慌てて空いている右腕でガードするが、すかさず次の攻撃が…! その一撃一撃がいちいち重たく防ぐのが精一杯なのが悔しい。 「ぃだっっ!?」 そうしているうちに死角をついて頭をチョップされてしまった。 「ほらな、お前は自分で死角を作るからすぐ攻撃されるんだよ」 …お前は格闘技の師匠か? 得意げに私の弱点について指摘する拓を見てると、段々怒りが蘇る。 見てたんなら「人違い」だと出てこいよ! そもそもの元凶のクセに…! 「まだまだだな、ブラザッ…お前…」 「誰が『ブラザー』だ」 言葉と同時に腹に膝蹴りをいれてやる。 さすがに悦に入って油断してたらしく効いたらしい。 ざまあみろ。 一方、真兄はというと…。 またやってる…という風に気にもせず夕飯を作る手を止めない。 そう、コレもまた『日常茶飯事』なのだ。 .
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