夢うつつ

69/75
前へ
/75ページ
次へ
遊郭パロ 尾向 真剣なその眼に惚だされて、 堕ちたのは僕か貴方か 「…ほんとにいいのか?」 「今更、何言ってるんですか…」 重なりあった体温が、感じたことのないくらい愛おしいく、 拙い口付けが、 繊細な物を扱うような愛撫が、 僕を充たしている貴方が、 全て、貴方だから… 「尾形、さま…っ」 「っん、なん、だ?」 「…お慕い、申しておりました…」 報われなくても、 結ばれなくてもいい ただこの一時を、貴方を、 今刻みつけたい 「む、かい…」 「…可笑しなことを言って、すいません…!好き、だなんて…」 恐れおおい、自分の感情だ そう言って流れた涙を隠そうと 目を背けようとすると、 両頬を包まれ、貴方は言った 「俺も、ずっと好きだった。」 (籠の壊れる音がした)
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

94人が本棚に入れています
本棚に追加