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2年後にシャボンディ諸島で。
船長から直接伝えられたわけでもないその合図を一味全員がしっかりと受け取った。
それぞれ違う場所にいてそれぞれの2年間を過ごした。別れも言わずに離れてしまったクルー達にもう一度会わねばならない。否、きっとおれ達はまた集まるべくして集まるのだ、と想いを馳せながら。
「だってよォ、手に負えねェ方向音痴マリモちゃんだぜ?この島まで戻ってこれるなんて誰が思うかよ」
「方向音痴じゃねェよ、アホコック」
「…だーれがアホコックだ、アホ剣士」
ガツン、とゾロの脛を蹴ったサンジはそのまま一層逞しくなった体に抱きついた。アァ、2年ぶりだ、と。ずっとずっと、会いたかったんだ、と。
「…飛ばされた時もよ、テメェ…傷だらけでよ。もう、会えねェんじゃねーかって、
おれは」
「…あれぐらいじゃァ死なねェ」
「っんなことは分かってんだよ!ただ、おれは…っ」
「おう。分かってる」
泣かせて悪ィな。とゾロがそう一言紡いだら、泣いてねェよとサンジは悪態をつく。そしてお互いに吸い寄せられるように唇を合わせた。
まるで、時間を埋めるように。
まるで、初めての時間のように。
この広い海で、全員がバラバラになって。もう一度集まること自体が奇跡なのだ。
そして、サンジはこんなにも恋い焦がれた相手ともう会えないのか、とそんなことばかりを考えていた2年間はどれほど辛かったかを。オマエも分かれよ、そうじゃなかったのかよ、と問いたかった。
それをゾロは分かっている、と言った。優しいキスは変わっていないと。おれはかわっていないと。
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