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「…人はさぁ、好きだよ」
「じゃあ、なんで…」
なんでって?…人は好きだよ?俺は人間を愛しているからね。
そう言葉を紡ぐ臨也の瞳は、笑っているように見えて酷く冷めていた。その瞳から逃げたくても逃げられない。静雄は動くことさえできない。
「だって、シズちゃんは人間じゃない。まるで怪物だ」
「……ッ」
確かに頭に血は昇りやすいかもしれない。確かにすぐキレるかもしれない。でもそれでも怪物だと言われてはたまらない。それが臨也であるからこそ、静雄にとっては耐えがたいのだ。
静雄はいつものように逆上しない。いつもならブッ殺すだ、死ね、だそんな風に言う静雄が、《ツクリワライ》をしている。
「…てめぇの方が辛気臭ぇ面してんじゃあねぇよー」
「…シズちゃん」
「怪物ってことぐらい今更だー…べつに、怒りゃあしねーよー…、俺はぁ」
ぐっと静雄の眉間に深くシワが入る。臨也はその一連の流れを見て、また思うのだ。
「やぁっぱ…シズちゃんなんて嫌い。キモチワルイ」
やれやれ、と呆れたポーズをとる臨也を静雄は真っ直ぐに見つめていた。…そして臨也は思う。
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