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――――――…貴い人
触れれば壊れてしまいそうで、すごく儚い存在で、脆くて、守りたい存在で。
でもそんな風に思ってることを言ったなら貴方は凄く怒って「俺を馬鹿にしてんのか長太郎!俺はそんなに弱くねぇよ」そう言うんでしょうね?
「ねぇ、宍戸さん」
「あー?」
「これ、どうしたんですか?」
鳳は宍戸の腕を取り、赤く擦れて腫れ上がった部分にソッと触れた。そしてあぁまたか、と思うのだ。
「いや~昨日ジローの奴とラリーしてたんだけどよ、あいつネット際ばっか落としやがるから…」
意地んなって突っ込んじまったら転んで、と宍戸は渋い笑顔を浮かべた。
「…宍戸さん、気をつけて」
ぎゅう、と音がしそうなぐらい力を込めて宍戸の体を抱き締めた。自分より一回りほど小さく感じられる大切な人を腕の中におさめている時が酷く幸せな時間なのだ。
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