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カッカッカッカッ… 病院の暗い廊下にヒールの音が響いていた。 「わっ…」 ガッシャー… 慣れないヒールに足を挫き、転んだ紗奈のカバンから綺麗にラッピングされた小さい箱が転がり落ちた。 込み上げてくる涙をキュッと手の甲で拭って、プレゼントをカバンにしまい、再び走り出した。 紗奈の携帯が鳴ったのは、15分前。 『こちら吉川メディカル救急病院ですが…』 「え…?」 『高野さんの携帯の着信履歴の一番があなただったので、かけてみたんですが…親族の方には連絡がつかなくて…』 「あの…どぅゆう…」 手が声が、震えた。 病院からの連絡で、 意味が分からない… 『高野さん、二階から転落されて、搬送されてきました。』 「…転落…」 全身の血の気が引いていくのが分かった。 病院の廊下は長く長く感じられた。 外からは、救急車のサイレンが聞こえて来る。 先生っ…!
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