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処置室。
明るく点灯されているとこを確認して、紗奈は自動ドアに一歩踏み出した。
乱れる呼吸を無理やり整え、前に視線を送った。
カチャカチャと金属がスリあう音とピッピッ…と規則正しく鳴り続く電子音。
行き交う白衣の人達の向こう側に、何台か並べられているベッドが目に入った。
ふらつきそうになる足に、ぐっと力を入れ紗奈は歩き出した。
「…あのっ」
何かを書き込んでいた様子の若い看護師が顔を上げた。
「はい。」
「…あのっ…さっき運ばれた…転落…」
今にも泣きそうな紗奈を見て、何か思い付いたような顔で看護師は
「もしかして…あなた、紗奈さん…?」
「え…?」
「あっごめんなさい。私なんです。電話したの。」
「あぁ…」
「こちらですよ。」
看護師が歩いて行くのを紗奈ははぐれないように付いて行った。
「…こちらです。」
看護師が掴んでいたカーテンを開けた。
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